AIを使う時間が増えるほど、「会話は便利だが、記録と実行が分断される」という問題が目立ってきました。会議の音声は録音サービス、タスクはNotion、長期保存はObsidian、通知はDiscord、会計はfreee。道具はそろっていても、毎回人が橋渡ししていては自動化になりません。
そこで私は、Hermes Agentを中心にした個人AI基盤づくりを始めました。狙いは万能AIを作ることではありません。会話の窓口、外部サービスとの接続、定期実行、記録を小さな部品に分け、必要なものだけを安全につなぐことです。
最初に決めた役割分担
設計の出発点は「一つのサービスへ全部入れない」ことでした。
- Hermes Agent:対話、判断の補助、ツールの呼び出し、定期処理の司令塔
- Discord:外出先から確認できる通知と対話の窓口
- Obsidian:原資料、日次記録、出典を残す長期保管庫
- Notion:人が見るタスク受付、進捗、承認
- PLAUD:録音と文字起こしの入口
- freee:会計データの正本
この分担なら、たとえばAIが誤った要約を作っても会計データまで自動で書き換える必要はありません。記録、確認、実行の境界を残せます。
完成形ではなく、小さな縦の流れを作る
最初から全サービスを接続すると、失敗時に原因が分かりません。そこで「情報を一件取得し、整形し、通知し、記録する」という短い流れから始めました。実際の順番は、メール通知、会計API、Notionタスク、PLAUD、Obsidian、日次自動化です。
再現するなら、最初の題材は機密性が低く、結果を目視できるものがおすすめです。たとえば公開RSSを一件取得して自分専用のDiscordへ送る程度で十分です。成功条件を「届いた」だけでなく、「二重投稿しない」「失敗をログに残す」まで決めます。
安全方針は機能より先に決める
私が採用した基本ルールは次の四つです。
- 秘密情報をプロンプト、ソースコード、ブログへ書かない
- 外部サービスへの書き込みは初期状態で無効にする
- 読み取り、プレビュー、確認、書き込みを分ける
- 実行結果を監査できる形で残す
AIエージェントは便利ですが、認証情報を持ち、外部へ書き込めるようになるほど事故の影響も大きくなります。機能追加と同じ熱量で「止め方」を設計することが重要でした。
この連載で扱うこと
全20回で、導入、Discord通知、freeeとNotionの安全なMCP、PLAUDの文字起こし、Obsidianの日次保存、cron運用、公式Obsidian CLIへの移行、公開用の匿名化までを順番に紹介します。うまくいった部分だけでなく、Gateway停止のように現在も確認が必要な点もそのまま書きます。
次回は、macOSへHermes Agentを導入し、最初にどこまで確認すればよいかをまとめます。
